レベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)って何?資金調達に活用してみよう

資金調達手帳

利用しやすい資金調達手段であるレベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)の普及に期待


レベニュー・ベースド・ファイナンスは、将来の売上げから一定額をロイヤリティとして返済する契約を結んで資金調達する方法です。
特に継続的な利益が期待できるサブスクリプション型のビジネスやリカーリング型収益を持つ企業が活用しやすい方法です。

銀行融資や株式発行が利用できないことで資金調達に悩む事業者も、レベニュー・ベースド・ファイナンスの利用を検討してみてください。

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新しい資金調達レベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)について知ろう


企業の成長段階で、必ず課題となるのが資金調達です。
新しい設備投資や販路拡大、海外進出など、事業を大きくする時には資金の確保が必要です。
しかし、まだ創業間もない企業にとっては銀行から融資を受けることが困難な場合もあります。また、融資で負債が増えることに不安を感じる事業主もいるかもしれません。

そこで、多くの企業から注目されるようになっているのが、レベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)です。
レベニュー・ベースド・ファイナンスを初めて聞いた人も、企業の資金調達を考えている人も、その概要を知っておきましょう。

レベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)とは

Revenue-based finance(レベニュー・ベースド・ファイナンス)とは、日本語にすると「収益還元型金融」です。
Royalty-based finance(ロイヤリティ・ベースド・ファイナンス)と呼ばれることもあります。

レベニュー・ベースド・ファイナンスは、将来的に発生すると見込まれる売上債権の譲渡スキームを活用したものです。
企業が投資家から出資を受け、投資家は企業が生み出す継続的な収入から一定割合を受け取ります。
投資家はあらかじめ決められている金額が支払われるまで、企業から事業収入に応じた金額を受け取る仕組みです。

レベニュー・ベースド・ファイナンスは1990年代初頭からテック企業を中心に徐々に利用され始めたといわれています。
広い業界で利用されるようになったのは2014年以降で、現在では音楽や映画業界、メーカーまで幅広く、レベニュー・ベースド・ファイナンスのスキームが使われています。

ベンチャーキャピタルからの資金調達との違い

レベニュー・ベースド・ファイナンスはまだ新しいため、ほかの資金調達スキームと混同されることもあるかもしれません。
レベニュー・ベースド・ファイナンスは、金融機関からの融資である「デット・ファイナンス」と、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルによる出資である「エクイティファイナンス」の中間とも分類されています。

ベンチャーキャピタルとレベニュー・ベースド・ファイナンスの大きな違いは、出資と引き換えに株式譲渡を行わないことです。
ベンチャーキャピタルでは、企業に出資する代わりに株式を受け取り、その値上がり益(キャピタルゲイン)を利益にします。

しかし、レベニュー・ベースド・ファイナンスでは株式は求めません。
その代わりに資金提供を受けた企業は、投資資金と引き換えに事業で得た利益のうちの数パーセントを投資家に分配します。
投資家は、分配金を継続して受け取ることでその総額が初めに出資した額よりも多く受け取れる仕組みです。

例えば、1,000万円の出資を受けてから、分配金の総額が5%であると考えます。
受け取るのは、毎月売上げの10パーセントのロイヤリティを受け取るケースです。
毎月の売上げが50万円であれば、10%の分配金が5万円になります。
一定の割合で返済を続けて、その合計額が1,050万円に達するまで毎月ロイヤリティを支払う計算です。

ベンチャーキャピタルによる資金調達は、対価として株式を渡すため、株主の持分を希釈化します。
資金調達は、今後の経営に与える影響も考えて選択するようにしてください。

銀行融資との違い

銀行融資は、debt finance(デット・ファイナンス)に分類される資金調達で、「デット」は、借金や負債を意味する言葉です。
つまり、お金を借り入れて資金調達する方法を意味します。

一方で、株式を発行して資金調達する方法を「エクイティ・ファイナンス」と呼びます。
エクイティは株式を意味する言葉です。

銀行融資は、お金を借り入れて将来の利益から負債を返却します。
将来の利益でお金を払う点では、レベニュー・ベースド・ファイナンスに似ているように感じるかもしれません。

ただし、レベニュー・ベースド・ファイナンスは、売上利益からロイヤリティとして調達した資金を返済する仕組みです。
一方で、融資の返済では、損益計算書上の営業利益の後の利益から資金を返済します。

どちらも資金を返済することに変わりはありませんが、資金を提供する投資家にとっては資金をどこから返済するかは重要です。

レベニュー・ベースド・ファイナンスで資金提供可能かどうか判断するポイントは、営業利益ではなく、返済の原資になる粗利益や売上高です。
そのため、まだ成長段階の企業であっても粗利益が出るようであれば資金調達しやすい点が大きな特徴といえます。

また、銀行融資は成長段階、ベンチャー企業への融資には保証人や担保を求める傾向があります。
ケースによっては、個人の資産を抵当に入れるように求める場合もあるでしょう。
個人資産を抵当に入れると、事業者が返済できない場合に個人資産まで返済の担保として押さえられてしまうかもしれません。

一方で、レベニュー・ベースド・ファイナンスは売掛債権や在庫を抵当にする場合はあっても、個人資産を抵当に入れることはありません。
投資家は、保証人や担保ではなく、どれだけ安定して売上げを出してロイヤリティを支払えるかによって資金提供の可否を検討します。

ファクタリングとの違い

将来に得られる利益から資金を調達する方法には、ファクタリングもあります。
ファクタリングは、売上債権を資金化する金融サービスです。
債権の支払い期日前にファクタリング業者に持ち込むと、一定の手数料を徴収して買い取ってもらえます。
ファクタリングは、銀行融資よりもスピーディーに資金調達できるため、手軽に利用できる資金調達手段としても注目されています。

ファクタリングは保有している売掛債権の金額によって調達額が限定されてしまう点が、レベニュー・ベースド・ファイナンスとの大きな違いです。
ファクタリングは、自社で保有する売掛債権額以上は借り入れできません。

また、売掛債権の全額を資金調達させられるわけではなく、限度額は掛目で計算します。
売掛債権の種類や、取引き状況に応じた掛目を売掛債権額に乗じた金額が借入れの限度額です。

ファクタリングを利用する時には、ファクタリング会社に対して手数料を支払います。
ファクタリングは急いで資金を調達したい場合など、事業においては便利な場面が多数あるため、企業に必要な資金額やタイミングに応じて検討しましょう。

ファクタリングについて詳しくはこちらの記事を>>
起業家におすすめのファクタリングサービスとは?活用法や選び方も紹介!

レベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)が盛り上がりを見せている背景

レベニュー・ベースド・ファイナンスは、もともと石油やエネルギー関連の業種で活用されてきた資金調達方法です。
また、薬品開発や映画製作など利益が出るまでに一定のコストがかかる事業でも活用されるようになりました。

現在では、多くのスタートアップ企業やベンチャー企業の資金調達手段として注目されるようになっています。
それは、LTVが注目され、リカーリング型の売上げモデルが広がったことに関係しています。
LTVとは、Life Time Value(ライフ・タイム・ヴァリュー)で、顧客が生涯を通じて企業に与える価値を表す言葉です。日本語では「顧客生涯価値」と呼ばれます。

レベニュー・ベースド・ファイナンスは、将来発生すると予測される売上げを活用するため、足元のキャッシュフローに不足がありながら、LTVベースでの利益に期待が持てるビジネスモデルの資金のズレを埋めることにも適した手法です。

顧客に継続して価値を与え続けるリカーリング型売上げモデルが拡大するにつれ、レベニュー・ベースド・ファイナンスによって調達されて資金が有効活用される流れは資金提供側にも調達する側にもメリットが大きい方法です。
日本でも今後のスタートアップ企業の増加、ビジネスモデルの発展によりレベニュー・ベースド・ファイナンスの活用が期待されています。

レベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)を利用するスタートアップ企業のメリット


レベニュー・ベースド・ファイナンスは、世界で利用が拡大しています。
どうしてレベニュー・ベースド・ファイナンスを利用するのか、資金調達をするスタートアップ企業にとってメリットがどこにあるのかをまとめました。

担保が必要ない

レベニュー・ベースド・ファイナンスは、担保がなくても利用できる点がメリットです。
多くの金融機関からの融資では、担保や事業者の個人資産などによる保証を求めます。
これは、金融機関が確実に資金を回収するためではありますが、スタートアップ企業にとっては担保を用意することも困難な場合があります。

担保となるような不動産や資産がなく、資金調達を諦めているスタートアップ企業にとっても、レベニュー・ベースド・ファイナンスは利用しやすい資金調達手段です。
レベニュー・ベースド・ファイナンスであれば、将来の売上げから支払うため、必ずしも担保が求められません。
個人資産を担保にすることもないので、事業者も自分の財産を人に手渡す心配なく資金調達できます。

株式持分を求められず、株式が希薄化しない

担保が不要な資金調達手段には、ベンチャーからの出資などのエクイティファイナンスもあり、融資や社債と違って返済義務がない点は大きな魅力といえます。

しかし、その代わりに株式を渡さなければいけません。株式を新しく発行することで、一株当たりの株式の価値が希釈化してしまいます。

事業者の株式持分が減ることで、会社の意思決定の自由度が下がることも想定しなければいけません。
出資を受けた場合には、役員が出向してきて経営方針に口出しするケースもあります。

経営のアドバイスを受けられることはメリットではあるものの、できるだけ創業者で自由に経営したい場合には足かせになりかねません。
資金調達は、今後の事業や経営に与える影響まで考えて手段を考えるようにしてください。

営業利益が赤字でも資金調達可能

資金調達には、決算の内容も影響します。
営業利益がマイナスだと、融資を受ける時にマイナスの影響を受けることもあります。
通常の融資や借金は、損益計算書で利益分から返済資金を捻出しなければいけません。

一方で、レベニュー・ベースド・ファイナンスは売上額からロイヤリティを差し引くため、営業利益よりも売上高や粗利益が重要です。
もちろん、利益が出ていたほうが良いものの、スタートアップ企業だと試作費用などのコストがかさんで利益がなかなか残らない場合もあります。
売上げがあれば利用できるレベニュー・ベースド・ファイナンスは、まだ利益が安定していない企業にとっても利用しやすい資金調達手段といえます。

出資までの期間が短い

資金調達は、金額も問題ですがタイミングも重要です。
ビジネスチャンスの到来や設備投資のタイミングに合わせてスピーディーに調達できるかどうか、申し込んでからどれだけの期間で資金が手元に入るかも比較してください。

例えば、ベンチャーキャピタルの資金調達では、銀行やベンチャーキャピタルにコンタクトしてから資金の提供まで数カ月はかかります。
一方で、レベニュー・ベースド・ファイナンスは投資家とコンタクトしてからの決定が速い点が魅力といえます。

融資や出資の際には、銀行や投資家が返済能力や信用力など、膨大な情報をもとに資金を提供するかどうか判断します。
一方で、レベニュー・ベースド・ファイナンスは、どれだけ安定して売上げを上げられるかどうかを示す情報を求めます。
判断に必要な材料が少ない分、スピーディーな意思決定が可能です。

レベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)は投資家にもメリットがある

レベニュー・ベースド・ファイナンスを利用するメリットは、資金調達側だけではありません。
レベニュー・ベースド・ファイナンスであれば、投資家やベンチャーキャピタルが投資先の経営に関わったり、取締役会に籍を置いたりすることはありません。
また、投資のための評価も不要です。

レベニュー・ベースド・ファイナンスで必要な判断は、資金を活用して売上げが安定するかどうか、資金を回収できるかどうかだけです。
レベニュー・ベースド・ファイナンスは、投資にかけるコストも少なくできる手段のひとつともいえます。

レベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)に合う業種


レベニュー・ベースド・ファイナンスの仕組みは、もともとはエネルギー関連の業種で活用されてきました。
しかし、近年ではほかの業界での利用が目立ちます。
レベニュー・ベースド・ファイナンスに適している業種を紹介します。

サブスクリプション型のSaaS

レベニュー・ベースド・ファイナンスが適している業種のひとつがサブスクリプション型のSaaSです。
SaaSは、Software as a Service(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)の略称で、インターネットを経由してソフトウェアを利用できるWebサービスのことです。

サブスクリプションは、月額定額制を意味しているため、毎月定額を支払って利用できるタイプのソフトウェアサービス全般を意味します。

サブスクリプション型のSaaSはパッケージの商品を売ったら終わりではなく、使いたい期間ずっと契約するビジネスモデルです。
売上げの予測可能性が高く、長期的な視点で事業運営するにも適しています。
そのため、レベニュー・ベースド・ファイナンスの返済計画も立てやすい方法です。

D2C

D2Cは、Direct to Consumer(ダイレクト・トゥ・カスタマー)の略称で、製造者がダイレクトに消費者と取り引きするビジネスをいいます。
D2Cは消費者と精算所の間に店舗を介さない点が特徴です。
D2Cは、メーカーが商品の開発から製造、販売まで手掛けるため、収益性が高く商品に併せた売り方を選べる点がメリットです。
独自のマーケティングやキャンペーンを展開して、顧客と関係を構築できます。

例えば、化粧品や健康食品といった商品は消費者の好みが反映しやすく、気に入ってもらえれば継続利用してもらいやすい商材です。
安定した売上げが期待でき、レベニュー・ベースド・ファイナンスにも適しています。

レベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)を提供するサービスも登場


一般的に、スタートアップ企業が創業して間もなくは資産も少ないため、資金調達に苦労する場面も多いかもしれません。
そのため、株式の発行が選ばれているものの、時間と労力が大きく事業内容に適さない場合もあります。

近年では、レベニュー・ベースド・ファイナンスを提供して、機動的に資金調達をサポートするサービスも提供されるようになりました。
スタートアップ企業に特化したサービス内容や審査モデルを採用しているため、今後もより多くの企業のニーズに対応できるように期待が寄せられています。今回はその中でもおすすめの3つのサービスについてご紹介致します。

RBF by PAYTODAY|RBFとファクタリングを比較検討して利用できる!


RBF by PAYTODAYはファクタリングサービスの「PAYTODAY」も運営しているDual Life Partners株式会社があらたに提供を始めたレベニュー・ベースド・ファイナンスのサービスです。
特にSaaS系企業をはじめとした、反復継続的な売り上げが期待できるスタートアップや中小企業をターゲットとしてサービスを提供しています。

申請はオンラインで完結し、次の書類をアップロードすれば審査を進めてもらえます。

  • 1.将来の売上予測とその内容
  • 2.直近6カ月以上の入出金明細
  • 3.決算書等

ファクタリングサービスも提供していることから、双方の資金調達を比較検討して、自社にマッチする資金調達手法を利用したいという人には、RBF by PAYTODAYが適しています。

「RBF by PAYTODAY」について詳しく知りたい方は、事業責任者に詳しいサービスの話をお伺いしている以下の記事もお読みください。
”借りない”資金調達方法である「AIファクタリング」と「レベニュー・ベースド・ファイナンス」についてPAYTODAYにお話を伺いました

Yoii Fuel|最短6営業日で資金調達できるスピーディな対応が魅力


株式会社Yoiiが提供するレベニュー・ベースド・ファイナンスがYoii Fuelです。
資料請求まで1分、不明点などの問い合わせは1営業日以内に返信してくれるなど、迅速対応を強みとしています。
また、手続きはオンラインで完結し、手続き開始から最短6営業日で資金調達を完了させることが可能です。
会計・決済システムと連携することで簡単に申請できる仕組みとなっており、手間なく審査を依頼できます。

利用可能な企業の基本条件としては、事業実績が6か月以上あって、運転資金(ランウェイ)が4か月確保できることとなっています。
創業期の企業や中小企業でも、多くが充足可能な条件です。
なお個人事業主は利用できないので、注意してください。

Flex Capita|多様な資金調達の選択肢の一つとしてRBFを提供


Flex Capitaは株式会社Fivotがスタートアップ向けに提供するファイナンスサービスで、主に次の3つの資金調達に対応しています。

  • 請求書立替
  • レベニュー・ベースド・ファイナンス
  • ベンチャーデット

リカーリングビジネス向けにはRBFをおすすめしていますが、複数の資金調達手法から自社に合った方法を柔軟に選べるのが魅力です。
審査期間は7日~2週間と最大日数が決まっています。
そのため、審査に時間がかかって資金調達時期が見えない、といった事態に陥らずにすみます。

また、Flex Capitaの手数料は3~10%と明記されているため、安心して利用できるのもFlex Capitaの特徴です。

まとめ

レベニュー・ベースド・ファイナンスは、将来の売上げを原資にして資金調達できるスキームです。
担保が用意できない企業や自由な経営を維持したい企業にとっても、レベニュー・ベースド・ファイナンスは魅力的な資金調達手段です。
スタートアップ企業の中には、成長の機会に資金が足りずに撤退する例も少なくありません。
将来の成長に必要な資金を手に入れるため、レベニュー・ベースド・ファイナンスを活用しましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

資金調達コンサルティング
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